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            A2134  全段差動プッシュプル・アンプ  - 設計編 -
 

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   t_00.jpg

情熱の真空管

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平衡型EL34全段差動プッシュプル
モニター・アンプ











 

 

あれから三年ですかぁー。いや、A2134をこの手にしてから流れた年月なんですが。
オクで見掛けたこの球で、アンプの作例の見当らないこの球で、莫迦素人に果たして
一から設計の真似事など出来る其の日が訪れるのだろうかと思いながら入札したあの時。

僕、A2134で全段差動プッシュプル・アンプを作るんだ・・・

なんてポエミーな妄想に浸って早三年。月日の経つのは遅いんだか早いんだか。
いよいよ経典も、球アンプ製作の本丸、ロードライン記を繙く段階へと突入です。
出来ることならその勢いで、負帰還記まで一気呵成に大攻略したいものですが、
この莫迦の脳味噌の容量からすると、とてもそこまでは望むべくも無いでしょう。

 




   
c_01.jpg

今回の主役、A2134でございます。殆ど無名の球っぽいです。
もうNameless tubeと云うかNameless cultと云うか・・・。
検索しても、長島先生の作例が見つかるのみでございます。

これは2007年、オクに出品されていたのを見掛け「何これ?」とばかりに特性表を調べたら、三結時の内部抵抗が835Ωと、
まるで2A3の如き特性に「これこそ憧れの2A3貧乏人仕様!」と
思ったらもう入札していたと云う逸品でございます。
その後特に競合も無く、一本当り五百数十円で保護完了と。
正しくpoorman's 2A3と呼ぶに相応しい価格と言えましょう。w
GECKT88なんかはもう貧乏人には無縁の存在ですが、これなら何とかなりました。英國の薫りを堪能させて頂きましょう。 

c_02.jpg

電源トランスは、古のタンゴ製ST-250A2134が低電圧大電流
仕様の球と云う事で、倍電圧整流用電源トランスが目的に適う
のではと。普通にブリッジ整流で使って良いのかどうか悩みましたが、まぁ大丈夫だろうと2008年落札。お値段は五〜六千円だったかな。仕様は二次側が、0-6.3V(3.3A)x2、0-38V(0.16A)、
0-10-130-150-170V(DC250mA),となっております。
外見が傷だらけだったり、大きな凹みがあったりで、お安く落とせるかと思ったら競合してしまい、寧ろお高く付いてしまったかも。

チョークコイルは、古のLUX製C1744。仕様は、0.9H-250mA。
2009年末に落札。金三千百円也。DCR 25Ωのお蔭様で首の皮
一枚繋がることが判明するのは後のお話でございます。

c_03.jpg

出力トランスは、これまたタンゴ製U15-52008年落札。
「へぇー、昔はこーゆートランスも作ってたんだ」と思い、記念に
入札したら落札。入札価格は他メーカーさんの現行品価格プラスα(ブランド料)で、壱萬円位だったかな。よく憶えていません。

とまぁオークションを利用して、集めるとも無く集めた部品も揃ったので、A2134を落札した当時、この球を握り締め、「よし、これで全段差動だっ!」と心に誓った三年越しの想いを形にさせて頂きましょう。ぺるけ様の雛形が有るとはいえ、完成出来るのか?
目利きの出来ない素人がオクで集めた部品なので、「あ、これ
壊れてる」なんて、途中で挫折する可能性も無きにしも在らずなんですが、まぁ、それも人生と云うものでございましょう。多分。

 電源部


        221V   216.5V   208V
170V->|--+--C K--+--OPT--P
     >|  |  25Ω 94Ω G
         C       C       K
     |<  |       |       |
 0V---|<--+-------+-------+-



 

これらの部品でどの程度+B電圧を得られるのか計算すると・・・
170V1.3倍(過去の経験値)で221Vが整流直後の電圧に。
Ep-Ip特性図にテキトーに線を引いてみて、ドライブ段も含めて
180mAの電流が流れると仮定し、チョークの直流抵抗25Ωでの電圧降下が4.5Vで+Bが216.5V
出力トランスの直流抵抗値は凡そ94Ωで、片ch当り90mA流れると94Ωx0.09A≒8.5Vでプレートには208Vの電圧が掛かると。

んで、下記の如く動作点を検討した結果、出力段で168mAと。
励振段は12AU7を投入予定なので、こちらより、仮に10mAと。
初段には0-38V巻線が余ってるので、これを使っちゃおうかなと。
凡そ178mAの電流が流れそうな塩梅で180mAでまぁいいやと。

A2134.jpg

 

二月十五日にはまだ間がありますが、釈迦涅槃像宜しく表を横たえてみました。
いや、球にはじゃなかった偶には仏教徒らしいネタも織り込まなくてはと。意味不明ですが。

出力トランスの一次側負荷が5KΩなので2.5KΩ負荷のロードラインを、計算したり
線を引いたりを何度か繰り返し、バランスの良さげなラインがこれでした。これに決定!。
無信号時の動作点を196V42mAとすると、
2500Ωx0.042A=105V
105V+196V=301V
301V÷2500Ω=120.4mA
となり、0バイアス点での電流が84mAで、丁度42mAが中点となりベスト・バランスの様な気が。
プレート損失も定格の12Wに対し,約8.2Wと定格の69%程度に収まっているので良い様な気が。
mT管に12Wとは如何にも無茶で、10Wでも厳しいかもと、8W辺りとして寿命に配慮してみました。

この動作ラインだとグリッド電圧は-15.5V辺りの様です。
ぺるけ様の作例より、グリッドバイアス電圧を仮に-1.8Vとするとカソード電圧は13.7V
プレート電圧196Vにカソード電圧13.7Vを嵩上げした209.7Vが必要な+B電圧になると。
ここで先程の電源部のシミュレーション(藁)に遡ると、210V必要なのに208Vしか出ないぞっと。
My GOD! It's full of stars ・・・ じゃない 2V足りない・・・うらめしや〜 ようお菊さん元気?

うーん・・・ここで莫迦素人に希望的楽観的観測と云うものを述べることを赦して戴けるならば、
そもそも真空管の特性はバラつきが多いものだし、此処で厳密な動作を詰める必要性は薄いとか、
そもそも電源トランスは倍電圧用で、有り余る電流容量のお蔭で電圧が高く出る可能性も有るとか、
建設的な期待を抱いて望めば、何れ海路の日和も有ったり無かったりするでしょうからこのままで。

どうやら電源トランスには、180Vタップ若しくは200Vタップ搭載のものを選択すべきだった様ですが、
入札時にはこんな検討などしておらず、成り行き任せ、運任せの入札/落札だったのが致命的です。
それでも首の皮一枚繋がり検討を継続出来るのは、DCR25Ωのチョーク様の賜物でございましょう。
Trリプル・フィルタの発熱を考慮して選択したチョークコイル様に命を救われることとなった模様です。

さて、この時点で検討すべきことは他にも何か有るかな・・・。
んー、特に思いつかないので次へ進みましょうか・・・。

 

  定電流回路及びバイアス調整回路
 
    |             0.7W
   PGK+4.7Ω 13.5V     4.9V     81mA 
    13.7V  +--+---C B E---+-60.5Ω-+
   PGK+4.7Ω  |     |        (2W) |
    |         +-CRD-+-SDi-+--ZDi---+
   1KΩ         3mA   0.6V   4.9V  |
    |                              |
    +-270KΩ+----+                 |
    |         +10KVRB+----+GND+----+
    C         +BRVK01+         84mA
      (-3.8V)-+  +→片側へ            

出力段定電流回路は、理想的にはこんな定数ですかねー。
エミッタ抵抗は1Wのものを並列にして電力容量に対処してと。
で、抵抗値の都合により60.5Ωを基準にツェナーの電圧を4.9V
に決定しましたが、ロームさんのdatasheetを拝見すると、4.9V
4.7のMAXと5.1のMINの間の存在の様で入手困難っぽい。orz
これは温度保障用のSDiを省いて5.6VのZDiにし、選別して5.5V
にした方が良いかなぁ。datasheetのVz-Iz表に依ると、5.6なら
2mA辺りから安定した特性になる様ですし。温度保障いらね?

グリッドバイアス電圧調整部は、ぺるけ様の作例をそのままで。
2連VRが有ればこんな簡単にバイアス調整回路を組めるのか、
とか思ったら、丁度手頃な2連VRが中々見つかなかったりして。 

   励振段電源部・没案

    +--C 221V                +--Rch
    |                        +--片側
   C K             0.16W     |
    | 216.5V        10mA     |200.4V
    +------+---+--C  B  E+---+--RL--+
    |      |  13kΩ  |0.1mA  |      P
   OPT     C   +-----+201V  C(?)    G
    |      | 180KΩ  C       |      K
         --+---+-----+-------+--
               1.1mA


  励振段電源部・決定稿 (?)

    +--C 221V             +---Rch
   |                     +---片側
  C K                    |
   | 216.5V         10mA |200.5V
   +--------+---1.6KΩ---+--RL--+
   |        |            |      P
  OPT       C            C      G
   |        |            |      K
          --+------------+--

 

 

励振段の電圧は諸般の事情より高目が良いらしいと、区切りの良い200Vとして考えました。
とすると、落とせる電圧は16V程。10mA程流れる予定なので、1.6KΩの抵抗器一本で用の
足りる箇所なんですが、基礎知識が不足している莫迦素人はここでふと考え込みました。
1.6KΩ程度じゃリプル・フィルタとしての効果があんまり期待出来ないのではないかと。
ぺるけ様の作例では、この部分に16.4KΩをお使いです。片やこの素人は1.6KΩで1/10・・・。
リプル・フィルタとして見ると、圧倒的に我が軍は不利な状況になる模様です。ハムに対して。

で、Trリプル・フィルタで考えたのですが、ここまでやる必要があるのかな?とは思いました。
自分でも。この図を考えながら。素人の癖にとか。莫迦の分際でとか。大袈裟すぐるぞとか。
「備えあれば憂いなし」これで良いのだと思う反面、「無駄もここに極まれり」とも。

ここはどの程度の残留リプルなら許容範囲なのか、有難い掲示板にて質問させて頂かなくては、
と思いつつ経典精査していると、ななんとっ!有難くも記されているではありませんかっ!
最早、経典と云う段階からアカシック・レコードとでも云うべき存在へと進化している様です。
↑いやー、いくら何でもそれは・・・(^^;

それはさておき、記された教えに従い、残留リプル具合を繙いて逝くと・・・

 1) 増幅段減衰率  :プレート負荷抵抗と12AU7の内部抵抗での減衰
             10KΩ÷(10KΩ+39KΩ)= 0.204倍 
 2) 出力段最大出力 :Po(W)=Ip^2×RL÷2
             (0.042A)^2×5000Ω÷2= 4.41W
 3) 出力段信号電圧 :実効値
             √(4.41W×8Ω)= 5.94V
 4) 出力段入力電圧 :グリッド入力電圧=-15.5V
             15.5V÷1.414= 11V
 5) 出力段利得   :グリッド〜8Ω間
             5.94V÷11V= 0.54倍
 6) 8Ω出力時に0.3mAとなる電圧増幅段の残留ハムは
             0.3mA÷0.54= 0.56mV
 7) 残留リプル上限値:減衰率で割る
             0.56mV÷0.204= 2.75mV

と、どうやら2.75mV以内のリプル電圧なら許容範囲となるっぽいですね。計算間違いが無ければ。
何をエラソーに書き写してるんだこの莫迦素人はと思われそうですが、これは次回以降に向けた、

俺様御用達アンチョコ覚書

として有難く活用し、末永く機能すべく記したものですので、悪しからず御了承下さいませ。

 

 残留リプル電圧の計算(誤)
             +Rch 
                          +-片側
                     0.5mV|    0.1mV
            +----1.6KΩ---+-39kΩ++P
            |             |      | G
     4V     |24mV     +---)--CC--+ K
 ->|-+-0.9H-+--OPT--+PGK  |
  >| |      |   +8Ω      |
    100    470  0.054mV   47
  |< μF   μF    (?)    μF
 -|<-+------+-------------+--

具体的に励振段の残留リプル電圧を計算してみると、
負荷抵抗が221V÷0.18A≒1227Ωで、100μFはEo/Er含有率表より1.8%で整流直後が221V×1.8%=4Vの残留リプルとなる、と。

CKが0.9Hで負荷抵抗分が567Ωで、470μFは159000÷(Hz×μF)より3.4Ωで3.4Ω÷(3.4Ω+567Ω)=0.006倍の減衰率となり
4V×0.006=24mVがチョーク直後の残留リプルとなる、と。

励振段の47μFは34Ωで0.021倍の減衰率で0.5mVのリプルと。
RLとrpで分圧されて0.204倍の減衰率で0.1mVが残留リプルと。
うーん、抵抗一本のフィルタで特に問題は無さそうですが、計算や考え方はこれで合っているのかな?いまいち自信無し。w

 残留リプル電圧の計算 (正)
                   +-Rch
                          +-片側    
                     0.5mV|    0.5mV
            +----1.6KΩ---+-39kΩ++P
            |             |      | G
     4V     |24mV  0mV+---)--CC--+ K
 ->|-+-0.9H-+--OPT--+PGK  |
  >| |      |   +8Ω      |
    100    470            47
  |< μF   μF           μF
 -|<-+------+-------------+--

↑まで仕上げてから「あれ?ここに定電流回路が入ってもリプルが分圧されるの?交流的に接地されていないけど」と、間違えているかも?と、漸く気付いた訳です。莫迦故に反応が鈍いです。

で、有難い掲示板にて質問させて頂いた処、ぺるけ様より、
差動回路は残留リプルを分圧、減衰せずそのまま出力するけど同相除去効果により消滅するのだ」とのご教示を頂きました。
どうやら差動回路の、有難いご利益の内のひとつの様です。
またDaluhmann様より「定電流回路はそれ自体がリップルフィルタであると知れ!」と云う有難い格言を頂戴致しました。

又もや莫迦は見当違いの方向へ全力疾走していた様です。orz

12AU7.jpg

12AU7Ep-Ip特性図です。負荷が39KΩなのはぺるけ様の作例のパクリです。いえ、自分でも30K47Kの線を引いてみたのですが「何か微妙に違うなー」程度の違いしか分からなかったので、もう39Kでいいやと。その微妙な違いの中に高域特性がとか、歪率がとか、「良い音」を司る神様がお隠れあそばすのでしょうが、「だって分からないんだも〜ん!」と39KΩに決定です。

初段FETの動作点は尚更良く分からないので、こちらもそのまま
パク活用させて頂きます。幅広く対応しそうな動作点ですので。
初段+B電圧が20V0.75mA流してバイアスが-0.6Vでソース
電圧が0.6Vだとドレイン電圧が12V辺りですかね。これが直結で12AU7のグリッドに繋がり、以下励振段の動作が決定すると。


  信号増幅部妄想之図
                                                      210V P--+-OPT-
                                       116V  200.5V        G3 100Ω
                   20V      12V        +--39KΩ-   -1.8V   SG-+
                   -10KΩ---+          P--0.47μF--+--1K---CG
                            D----------G           |       K 13.7V
               IN--------+--G          K           270KΩ  +
                      47KΩ S 0.6V     |16V        |       4.7Ω
                     GND-+  +CRD-(-C)  +CRD--GND--VR-(-C)  +-CCC-GND
                      100Ω1.5mA   |  4.4mA    |       4.7Ω 84mA
               -NFB------+--G          K           270KΩ  +
                            D----------G           |       K
                   -10KΩ---+          P--0.47μF--+--1K---CG
                            0.75mA     +--39KΩ-           SG-+
                                       2.2mA               G3 100Ω
                                                      42mA P--+-OPT-

                           ↑K30A     ↑12AU7             ↑A2134

 

初段ドレイン電圧が12Vで、これがU7グリッドへ直結でバイアスが-4Vだからカソードが16Vと。
カソード電圧分が嵩上げされてプレート電圧が116Vになって、+B電圧の200.5Vから116V
落として2.2mA流す抵抗値は39kΩと。この電圧近くになれば、ほぼ成功ということで。

お次は励振段と出力段を結ぶカップリング・コンデンサ容量の検討ですかね。
経典を参照させて頂きますと、もうね、気の遠くなる様な分量が記載されておりますです…。

最初の一歩は励振段の出力インピーダンスですか。
12AU7の内部抵抗が10KΩでプレート負荷抵抗が39KΩで、並列合成値の約8KΩが出力インピと。
A2134のグリッド抵抗値は自己バイアスの時270KΩとの指示で、これが出力段の入力インピと。
これらを足して計算式に当て嵌めると、0.47μFを用いれば1.2Hzが基準周波数となり、
4.8Hz辺りで0.5dBの減衰となる、と。1μFだと0.57Hzが基準で2.3Hz辺りが-0.5dBですか…。
ここは低過ぎても他の厄災を招く元となるらしいので、素人的には0.47μFが妥当かなぁ。
それに0.47μF以上は、入手性もお値段も、格段にアレげなことになりそうだし。

そしてお次は出力トランスの低域特性の検討ですか。
この莫迦素人にはここまでの検討は不必要と思いますが、まぁ乗り掛かった船ですので最後まで。
A2134のrpは0.84KΩU15-5は5KΩP-Pで、並列合成値が1.26KΩP-P=(0.84x2x5)/(0.84x2+5)と。
U15-5の一次インダクタンスが45H〜140Hで、計算すると低域時定数は4.7Hz〜1.5Hzですか。

タンゴさんのカタログを眺めていて、一次インピが高いとヘンリー数が高いなぁと、漠然と思って
いたのですが、ぺるけ様の表に載っている、U15-5と同系統と思われるU13-8の数値と比べてみて、
超低域命な人は、内部抵抗の低い球と一次インピとH数の高いトランスと大容量のカップリング・C
との組み合わせを模索するのが幸せへの近道なのかなぁ、と。ま、程度ってもんがあるでしょうが。
どうやら、球のrpの低さによるD.F特性の良さだけが低域特性の定規では無いと云う事の様です。

何れにせよ、出力トランスの低域時定数が1.5Hzなら、カップリング・Cが0.47μFで丁度良いかも。
ん?… それともここはスタガー比とやらが云々で、充分に離す必要がある箇所なんだろうか…。
うーん、分からないことがまたひとつ湧いてきた…orz

そして今度は電源インピーダンスですか。
信号ループの項を熟読しても尚470μFを投入するのは、漢であり莫迦である証でございましょう。

そして更に高域の入力容量と続きますか。
やれやれ、カップリング・Cとグリッド抵抗によるロー・カット・フィルタのお次に控えしは、
出力インピーダンスと入力容量によるハイ・カット・フィルタと来やがりますかそうですか。
音声信号さんもこんな過酷な旅路の果てに、漸くコーン紙を振動させたら酷評されるなんて、
まぁ、なんてお気の毒様な運命を背負っているんでしょう。責任者出てこ〜いっ!…あ俺か。
音声信号さんに気持ち良くボイス・コイルを鷲掴みにして頂き、小気味良く振動して頂く為の、
責任重大な箇所の様です。或いはこんな処にも良い音の神様が潜んでおられるのかもしれません。

A2134の入力容量と思われる表記には、Ca-all:10pFとCgl-all:10pFというのがありますが、
どれがCkでどれがCg-pなのか判断が付きません。どちらも10pFで同じなのが救いと申せましょう。
まず無帰還として利得を求めると、μ10x(2500Ω/2500Ω+835Ω)≒7.5倍
ミラー効果が、10pFx(7.5+1)=85pF で 入力容量95pFにもなるんですかっ!
12AU7の出力インピーダンスが8KΩで、159000÷8÷95=209.2KHz-3dBの減衰となる様ですが…。

仮に5687ドライブの2A3の場合だと、159000÷3.2÷67=741.6KHz ???? ホント?    ・・・ぁゃιぃ・・・
二段構成として12AX7にした場合は、159000÷62÷95=27KHz ???????  ハァ?  …ホントっすか?
ならば励振段を7119にした場合は、159000÷1.5÷95=1,115.8KHz   …メガ? …メガなのか?…
まぁ、負荷がテキトーなんで全く信憑性に乏しいし、三段構成の場合は初段の影響もあるだろうし。
計算結果は怪しいですが、真空管の特性の見方はなんとなく理解出来たかも。
と思ったら、カソフォロのご説明では軽やかに2メガ越えしてますね。いいのかなこれで…。

12AU7-A2134の場合は、209Kz-3dBだと52KHz辺りで-0.5dBの高域特性となるのでしょう。
そして出力トランスU15-5の特性は15Hz〜120KHzとあり、これが-3dBの特性だとすると、
-0.5dB30KHz辺りでしょうから、12AU7-A213452KHzという特性でも何の問題も無いことにします。
素人が迂闊に高域を伸ばしたら、高周波帯が波乱万丈な事になって収集が着かなくなりそうなので。

負帰還時の入力容量については、実際に負帰還を掛けた時に改めてお勉強と云うことにして。

漸く辿り着いた最後の課題、浮遊容量については、もう最短距離での配線を心掛けますから、
勘弁して下さいよお願いしますよもう脳味噌が熱暴走して桁溢れして耳から零れてきてますよ
ホントですよ目の前も頭の中も真っ白ですよほら蝶々も飛んでますよあれお花畑ですかここ?



 初段・差動式直流安定化回路 (by ヒロ様)              初段・LM317L式安定化回路

                                           +--+Rch                      0.016W
        50V 11mA 26V             0.03W 20V |                   50V   25.4V   20V  3mA
  38V->|-+-2.2KΩ-+-+-+------+-+-ダーリ-+--+--+---+     38V->|-+-8.2K-+-I A O-+---+--+-
      >| |  (1W)  | | |      | | ントン |  | 10K 10K        >| |      |   |  Di 240Ω|
         C        C C カレント C   |   7.5 C  +   +            C      C   +---+---+  C
         |        | R ミラー +-+---+   |  D   D         |< |      | 10μ 3.6K    |
         |        | D |      |          |  |  G   G     0V--|<-+------+---+---+----+-+-
         |        | +-差動回路----------+  |  S   S
         |    5.3 | Z    |             2.7 |  +-+-+
         |    V→ | D   CRD            |    |
      |< |        | i3mA | 3mA      2mA |  |   CRD
  0V--|<-+--------+-+----+--------------+--+----+ 1.5mA

 

 

初段電源部は「定本」に載っている「直流安定化電源」を参考にしようとお勉強していると、
差動回路を用いた安定化回路が載っていました。この回路を目にした瞬間「これで逝くぞっ!」
と思ったものの、ご解説に曰く「複雑すぎるのでICでも使え」ですとぉ?そんな殺生なぁ〜。

全段差動アンプには、差動回路誤差増幅器に用いた安定化電源こそがお洒落でお似合いだと、
差動に出来る部分は全て差動回路にして、全段差動ならぬ全部差動ppあんぷの製作だぁぁ〜!
と、一旦そう思い込んでしまった莫迦素人には、最早他の選択肢はありません。えぇ、ありませんとも。
そうと決まれば何時もの如く、電子の海へと没入して先人の叡智を学ばせて頂きましょう。

結果、pMan様のご連載で安定化回路の初歩をお勉強させて頂きました。ありがとうございました。
そしてヒロ様の電圧レギュレータ考を拝読させて頂きますと、主な安定化回路をきちんと検証
されておられます。嗚呼、何と勿体無くも有難いことでございましょうか。感謝でございます。

ヒロ様の実験記を熟読させて頂きますと、どうやらオペアンプを誤差増幅器に用いた安定化回路の
リプル除去性能が優れていそうで、アンプの初段にはこれを投入すべきという気がするのですが…
あと意外なのは三端子レギュレータの性能が優れていることでしょうか。侮れないなぁ。

LM317を用いれば超お手軽に安定化出来そうですが、datesheetには最小負荷電流が3.5mAとあり、
初段に3mA流す程度の用途には使えないということでしょうね、多分。とかやっていて、ふと
思い立ち、サトー電気さんの在庫を漁ってみますと、矢張有りました。LM317Lという代物が。
datasheetでは最小負荷電流が1.5mAとなっていて、これなら使っても大丈夫という気がします。
等価回路を拝見すると、差動式よりかなり複雑な構成です。Tr一個の大きさなのに。素敵だ。

と云う訳で、figureを参照してLM317Lでも考えてみたのですが、これでも充分ですかねー。
こうすると全部差動と名乗れなくなりますが、そもそも全部差動ppあんぷと名乗るには、
出力段定電流回路部分も差動構成にしないと「詐欺!」とか言われて後ろ指さされますしねー。
で、定電流回路差動にすべくお勉強の途中なんですが、これが良く分らんのですよ。あははのは



       初段・定本式直流安定化回路           初段・お手軽シャント式安定化回路

             50V    26V    0.04W  19.8V                   50V    0.2W 7mA  20V
       38V->|-+-2.7K-+--+--C B E-+-+-3mA           38V->|--+--+--C B E-+--+-+-
           >| | (1W) | FET   |   C |                   >|  |  15K  |20V|  Z |
              C      C  +----C   | 5.5K                    C  +----+   C  D C
              |      | 3mA   B---+-+                   |<  |  10K  C   |  i |
              |      |       E     |               0V--|<--+--+----+---+--+-+-
              |      |       +     2.2K                      2mA
          |<  |      | 5.6V ZDi    | 2.6mA
       0V-|<--+------+-------+-----+-    

 

 

だがしかしっ!LM317Lなんてゆーお手軽ICに頼っている様じゃ良い音のアンプは作れない、とか、
そんなお手軽ICじゃ良い音はしない、とか、もう何の根拠も無い疑惑や疑念や疑心暗鬼が沸々と
沸き上がってくるので、他にもそれっぽくTrを使用したものを検討してみたのですが、どうでしょう?

「まぁ、好きにすれ」としか言えないでしょうから、制作時の気分次第で好きにしましょうか。

0-38V巻線が余っているからと云う単純な理由で初段電源部を別にしようと悪戦苦闘してみたら、
随分大袈裟なことになってしまいましたが、果たしてこれで良かったんでしょうかねー。
作例通り電源部を共通にして、初段はツェナーを使って安定化するだけで何の問題も無い様な。
今更それを云うなよ、俺…orz

とかやっていて、何気にGEの6550Aのdatasheetを眺めていたら、入力容量Cg-pについて、
今更ですが値を勘違いしていることに気付いてしまったですよ…orz
2A3Cg-p16pFとあったので、取り敢えず一番近い10pFがそれだと思い込んだのですが、
どうやら0.3pFCg-pの様ですね。datasheetにもCa-glと表記されてますし。やっぱり莫迦ですね。

で、もう一度12AU7-A2134の入力容量を計算し直しますです。
利得が7.5倍でミラー効果が0.3pFx(7.5+1)=2.55pFっすか。三極管に比べ圧倒的に優位ですかね。
Ckは不明なので丸ごと10pFを足して12.55pF入力容量になる、と。でも実際はもっと少ないぞと。
12AU7の出力インピーダンスが8KΩで、159000÷8÷12.55=1,583.7KHz-3dBの減衰となりますか。

う〜ん、すんばらしいっ!軽やかにメガ越えを達成なさっておいでです。
でもこちらの何処かで、「多極管の三結時のCg-pの値は不明」と云う記述を拝見した記憶があるので、
実際のcg-pの値はもっと大きく、入力容量も増大し、高域特性も低下するのだろうと思います。多分。

三結時の入力容量まで記載された多極管の特性表は存在しそうに無いですので、
周波数特性を知りたければ、オシロスコープでも購入すれっ!ってことの様です。



  初段・LT3080式直流安定化回路
                                      20V                    +--Rch
                   50V 13mA 27V 0.09W  +---------------------+--10K
             38V->|-+--1.8K--+--I S O--+----------+---+      +--10K
                 >| |  (2W)  |    |    |          |   |      |   +
                   1000    1000  2M   2.2        2.2 1.8K   2.2 K30
                    μF     μF  Ω   μF        μF  |     μF  +
                 <| |        |    |    |          |  LED     |  CRD
              0V-<|-+--------+----)----+|<|<|<|<|<+---+------+---)--GND
                                  |    +--1000μF-+  10mA        |
                                  +----)----------+              |
                                       +-------------------------+ 3mA
                                 -3.5V +--------------VR


何と申しますか、結局ヒロ様んとこでその存在を知った期待の新人、LT3080を投入してみることに。
えぇえぇ、流行りモノにはまるで弱い莫迦素人でございます。流行ってるのかどうか知りませんが。
datasheetを拝見すると、これが早川さんなら「次世代型回路のリアル・レギュレータ」
とか謳って売り出しそうな代物の様です。どう凄いのか、素人には良く分かりませんが。

figureを参考に、テキトーに回路を妄想してみました。これで動くんでしょうかねー、正常に。
マイナス電圧は初段で使用するのだから、ここにダイオードを挿し込んで電圧を発生させるのが
地産地消の精神に則っていて好ましいかなぁ、と。えぇ、意味不明だと自分でも思ってます。
出力段グリッドバイアスは、基本、電流が流れないことにして、VRにお裾分けしてあげます。

しかしこうするには一抹の不安が。クッキー様ご報告では(-)電圧が巧く発生しなかったと。
この回路で製作するにはバラックで組み上げて、動作確認を行う必要がありそうです。

整流ダイオードの資料では、表類のデータが皆0.01Aからの表記と成っています。
これは「最低でも10mAは流せよな」というメーカーさんからの脅迫と云うか圧力だろうかと、
電源ON表示用のLEDを据え付け、10mA流す仕様としました。通常であればLEDには5mAも流せば
十分な光量ですが、今回はヒーターも灯さない真空管をパイロット・ランプ代わりにする為、
何時もより煌々と輝いて頂ける様、多めの電流量とし、これに対処しました。

でもこの回路だと、LT3080の出力電圧はGNDに繋がった2MΩにより20Vに成る様な、
出力端子のCが-3.5Vに繋がっているので、結局16.5Vに成る様な、良く分からない回路です。orz
それ以前に、マイナス電圧もきちんと発生するのかどうか…。orz
16.5Vだった場合は、2MΩ2.4MΩにすれば対処出来そうだなぁ。でも、それで良いのか?
電気の仕組みも良く分からない莫迦が、回路なんて考えるものぢゃない!ってことの様です。orz

ここは矢張りバラックで組み上げて、皆様の失笑を買うのが莫迦素人の努めでございましょうか。

 

c_04.jpg

バラック製作の手始めとしてミノ虫クリップ付ケーブルを、短めに
切って本数を増やしたり、二叉にして三点支持ケーブルにしたりして、抜かり無く制作準備を整えているところでございます。

6550A STC Ver.2アンプ製作の際に使用した750Ω10Wx4連装の負荷用抵抗器も、これはもう一個あって直列にしたり並列にしたりすると応用範囲が拡がりそうだと、追加で作ったのですが、これは500Ωx6連装とか、300Ωx10連装で作った方が細かく負荷の調整が出来るなぁ、と完成してから気付いても、後の祭りでございましたとさ。ま、良いんですけどね。何時もの事だし。orz

さぁ、後はまた作りながら考えるということで、製作開始です!

 

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